2018/3 オーストラリア弾丸乗り&撮り鉄旅行(1)
社会人になり早1年。仕事に精を出しつつ程々に遊び、平凡な毎日だけどまあいいやと思考停止しながら生活してきた私の目に、ある画像を載せたツイートが留まりました。
その画像は、S Set(後述)の車内に貼られたステッカーを撮影したもので、それにはこんな言葉が書いてあったのです。
「We know it's hot. Cool new trains arriving in 2018.」
このセンテンスは紛れもなく、かつてシドニーで最大勢力を誇ったS Setの引退が、すぐそこに迫っていることを意味していました。留学中にS Setの魅力を知った私にとっては当然一大事なわけで、当然見納めに行きたいというところまでは考えが及びます。しかしながら社会人となってしまった我が身では、そう軽々しく仕事を休んで海外へ行くことなんてできません。
こうぐるぐると考えを巡らせた私ですが、最後は図太く休みを請求してしまいました。そしたらなんとラッキーなことに、怒るかと思った上司がとてもすんなり出国許可を出してくれたのです。というわけで、私のオーストラリア行きは決まったのでした。

いつも通り信頼と安心の翼カンタス(私評)でシドニー入り。空港駅の1200円近いバカ高い利用料を払いたくないので、400番系統のバスでイラワラ線へ出てバックパッカーのあるシドニーCBDへ。
バッパーに荷物を置いて、少し散歩してからセントラル駅へ向かったら……よかった、いました。オーストラリアで最も豪華といわれる列車、インディアン・パシフィック号です。
インディアン・パシフィック号は、客車だけでも23m級車両が25両も連なる超長大編成で運行されるため、セントラル駅では2つのホームを使って客扱いをします。機関車も含めれば600mにも達する長大編成はまず日本では見られないので、日本で鉄オタをやっている人ならば必見でしょうね。

セントラル駅の主といえばV Set。シドニー名物の中距離列車用ダブルデッカー車両なのですが、全長が24m程度あることもあり、全く寸胴には見えません。写真のDJM carはV Setの中でも三菱電機製の足回り・チョッパ制御装置を装備するグループで、走り出すとメトロのチョッパ車のような走行音を発する何とも面白い車両です。
現存するV Setは1977年から1989年までの12年間にわたって製造されたもので、組成は全てクモハ―サハ―サハ―クモハの4両編成となりますが、形式は多岐にわたります。形式は車両側面に記載があります。
・クモハ
DCM:77年製抵抗制御車 DTM:DCMに車いすスペースを設置した車 DIM:81-82年製抵抗制御車 DJM:83-88年製GTOチョッパ制御 DKM:89年製GTOチョッパ制御
・サハ
DCT:77年製運転台撤去サハ DET:元カンファレンスカー(座席配置が独特)のDCT DTD:DCTに再度運転台設置→再び撤去 DIT:81-88年製の純粋なサハ DKT:89年製の純粋なサハ
上記のうち、DCM・DCTとそれ由来の車は非常に数が少なく、その中でも特にDTMとDETは1両のみの存在であるため出会えたらもうシドニーに来た意味があったと胸を張って言えるでしょう。
なお、当初の予定では2012年までに77年製の車は全廃されることとなっていましたが、計画変更で一部の車両が生き残り、今なお多彩なラインナップを揃える形式となっています。現在ではニューカッスル方面への半分ぐらいの列車と、世界自然遺産ブルーマウンテンズ方面の全列車がV Setによる運用となっており、ぜひ観光のついで(個人的には観光がついで)に乗っておきたい車両です。

インディアン・パシフィックを撮りにトゥンガビー(Toongabbie)駅へ行ったのですが、なんと駅舎改良工事中で警備員がウロウロしていた上に微妙な位置で構えている現地の同業者が数人おり、こんな構図でしか撮れずに終了。結局警備員は何も言ってこなかったんですが、あっちの警備員は危険の予兆を見つけると話しかけてくることもあるので、安全最優先と割り切ってこれで我慢ですね。
1両目は標準軌区間ならどこにでもいるNR Classで、2両目の機関車はヴィクトリア州向けに造られたV/Line Gクラスです。標準軌対応(※)の車両は多くがオーストラリア最大規模の貨物列車運行事業者・パシフィックナショナル(Pacific National)へ所属が変わっており、全くヴィクトリア州に関係ないNSW州内の路線でも普通に運用されています。

その後はフレミントン(Flemington)駅で適当に編成写真をやってから、セントラル駅のラッシュアワー観察をしつつこんな写真を撮って一日を終えました。
左はK Setで右はA Set。Aは8両固定編成で78編成もいるので、シドニー近郊にいながらこれを見かけないという事態はまずないでしょう(運用が無いイラワラ(Illawarra)線・カーリングフォード(Carlingford)線を除く)。

翌朝。早く起きたのでセントラル駅で適当に撮り鉄。数少ないGoninan製S SetとA Setの組み合わせです。本来ならこの組み合わせは2014年までには見られなくなっていたはずでしたが、結局2018年になっても健在です。もっとも、Sは2018・19年に全廃されることが決定しているため、もってあと1年でしょう。

この日は現在工事が進んでいるシドニーメトロへの転換に伴い、ダブルデッカー車の運行が無くなるバンクスタウン(Bankstown)線の葬式鉄を挙行。ついでに真横を走るメトロポリタン貨物線(Metropolitan Goods Line)適当に撮ってました。ちなみに、貨物列車は短くても600mくらいにはなるため、シドニー近郊で貨物列車をフルで納められる場所は非常に少ないです。
これは81 Class。NRほどではないですが、これもよく見られます。オーストラリアのDLはこれみたいに箱型車体かつ両運転台になっている車両(いわば欧州スタイル)も多く、アメロコとの大きな違いといえるでしょう。

もうすぐ見納めのバンクスタウン線の文字。シドニーメトロの路線に組み込まれたら、恐らくLidcombeにも行かなくなってしまうでしょう。

途中のバンクスタウンで一旦下車して街をふらつきました。典型的なシドニーの郊外中核都市で、まあまあでかいショッピングモールと商店街があります。バンクスタウンは多国籍の街としても有名なので、白人アジア人だけでなくインド人など多様な人々が歩いていました。
バンクスタウン線はバンクスタウンからリッドクム(Lidcombe)駅間が一番乗っていて面白い区間で、途中で急カーブでできた三角線(トライアングル)を通過したり、リッドクム駅入線時に逆走したりします。

リッドクム駅に到着。バンクスタウン線は、以前あったセントラル方面への直通が切られ、系統分断されたときに造られた行き止まり式の5番ホームに発着します。シドニーメトロがバンクスタウンまで開通すれば、このホームの扱いも変わることとなるでしょうが、一体どうなるのかが非常に気になるところです。
つづく。
その画像は、S Set(後述)の車内に貼られたステッカーを撮影したもので、それにはこんな言葉が書いてあったのです。
「We know it's hot. Cool new trains arriving in 2018.」
このセンテンスは紛れもなく、かつてシドニーで最大勢力を誇ったS Setの引退が、すぐそこに迫っていることを意味していました。留学中にS Setの魅力を知った私にとっては当然一大事なわけで、当然見納めに行きたいというところまでは考えが及びます。しかしながら社会人となってしまった我が身では、そう軽々しく仕事を休んで海外へ行くことなんてできません。
こうぐるぐると考えを巡らせた私ですが、最後は図太く休みを請求してしまいました。そしたらなんとラッキーなことに、怒るかと思った上司がとてもすんなり出国許可を出してくれたのです。というわけで、私のオーストラリア行きは決まったのでした。

いつも通り信頼と安心の翼カンタス(私評)でシドニー入り。空港駅の1200円近いバカ高い利用料を払いたくないので、400番系統のバスでイラワラ線へ出てバックパッカーのあるシドニーCBDへ。
バッパーに荷物を置いて、少し散歩してからセントラル駅へ向かったら……よかった、いました。オーストラリアで最も豪華といわれる列車、インディアン・パシフィック号です。
インディアン・パシフィック号は、客車だけでも23m級車両が25両も連なる超長大編成で運行されるため、セントラル駅では2つのホームを使って客扱いをします。機関車も含めれば600mにも達する長大編成はまず日本では見られないので、日本で鉄オタをやっている人ならば必見でしょうね。

セントラル駅の主といえばV Set。シドニー名物の中距離列車用ダブルデッカー車両なのですが、全長が24m程度あることもあり、全く寸胴には見えません。写真のDJM carはV Setの中でも三菱電機製の足回り・チョッパ制御装置を装備するグループで、走り出すとメトロのチョッパ車のような走行音を発する何とも面白い車両です。
現存するV Setは1977年から1989年までの12年間にわたって製造されたもので、組成は全てクモハ―サハ―サハ―クモハの4両編成となりますが、形式は多岐にわたります。形式は車両側面に記載があります。
・クモハ
DCM:77年製抵抗制御車 DTM:DCMに車いすスペースを設置した車 DIM:81-82年製抵抗制御車 DJM:83-88年製GTOチョッパ制御 DKM:89年製GTOチョッパ制御
・サハ
DCT:77年製運転台撤去サハ DET:元カンファレンスカー(座席配置が独特)のDCT DTD:DCTに再度運転台設置→再び撤去 DIT:81-88年製の純粋なサハ DKT:89年製の純粋なサハ
上記のうち、DCM・DCTとそれ由来の車は非常に数が少なく、その中でも特にDTMとDETは1両のみの存在であるため出会えたらもうシドニーに来た意味があったと胸を張って言えるでしょう。
なお、当初の予定では2012年までに77年製の車は全廃されることとなっていましたが、計画変更で一部の車両が生き残り、今なお多彩なラインナップを揃える形式となっています。現在ではニューカッスル方面への半分ぐらいの列車と、世界自然遺産ブルーマウンテンズ方面の全列車がV Setによる運用となっており、ぜひ観光のついで(個人的には観光がついで)に乗っておきたい車両です。

インディアン・パシフィックを撮りにトゥンガビー(Toongabbie)駅へ行ったのですが、なんと駅舎改良工事中で警備員がウロウロしていた上に微妙な位置で構えている現地の同業者が数人おり、こんな構図でしか撮れずに終了。結局警備員は何も言ってこなかったんですが、あっちの警備員は危険の予兆を見つけると話しかけてくることもあるので、安全最優先と割り切ってこれで我慢ですね。
1両目は標準軌区間ならどこにでもいるNR Classで、2両目の機関車はヴィクトリア州向けに造られたV/Line Gクラスです。標準軌対応(※)の車両は多くがオーストラリア最大規模の貨物列車運行事業者・パシフィックナショナル(Pacific National)へ所属が変わっており、全くヴィクトリア州に関係ないNSW州内の路線でも普通に運用されています。

その後はフレミントン(Flemington)駅で適当に編成写真をやってから、セントラル駅のラッシュアワー観察をしつつこんな写真を撮って一日を終えました。
左はK Setで右はA Set。Aは8両固定編成で78編成もいるので、シドニー近郊にいながらこれを見かけないという事態はまずないでしょう(運用が無いイラワラ(Illawarra)線・カーリングフォード(Carlingford)線を除く)。

翌朝。早く起きたのでセントラル駅で適当に撮り鉄。数少ないGoninan製S SetとA Setの組み合わせです。本来ならこの組み合わせは2014年までには見られなくなっていたはずでしたが、結局2018年になっても健在です。もっとも、Sは2018・19年に全廃されることが決定しているため、もってあと1年でしょう。

この日は現在工事が進んでいるシドニーメトロへの転換に伴い、ダブルデッカー車の運行が無くなるバンクスタウン(Bankstown)線の葬式鉄を挙行。ついでに真横を走るメトロポリタン貨物線(Metropolitan Goods Line)適当に撮ってました。ちなみに、貨物列車は短くても600mくらいにはなるため、シドニー近郊で貨物列車をフルで納められる場所は非常に少ないです。
これは81 Class。NRほどではないですが、これもよく見られます。オーストラリアのDLはこれみたいに箱型車体かつ両運転台になっている車両(いわば欧州スタイル)も多く、アメロコとの大きな違いといえるでしょう。

もうすぐ見納めのバンクスタウン線の文字。シドニーメトロの路線に組み込まれたら、恐らくLidcombeにも行かなくなってしまうでしょう。

途中のバンクスタウンで一旦下車して街をふらつきました。典型的なシドニーの郊外中核都市で、まあまあでかいショッピングモールと商店街があります。バンクスタウンは多国籍の街としても有名なので、白人アジア人だけでなくインド人など多様な人々が歩いていました。
バンクスタウン線はバンクスタウンからリッドクム(Lidcombe)駅間が一番乗っていて面白い区間で、途中で急カーブでできた三角線(トライアングル)を通過したり、リッドクム駅入線時に逆走したりします。

リッドクム駅に到着。バンクスタウン線は、以前あったセントラル方面への直通が切られ、系統分断されたときに造られた行き止まり式の5番ホームに発着します。シドニーメトロがバンクスタウンまで開通すれば、このホームの扱いも変わることとなるでしょうが、一体どうなるのかが非常に気になるところです。
つづく。
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